遠野吠(冬野心央)が変身したゴジュウウルフ(左)と、ライバルのファイヤキャンドル(三本木大輔、右)©テレビ朝日・東映AG・東映

 東映のスーパー戦隊シリーズは今年4月で放送開始から50周年を迎えた。2月から放送中の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」(朝日系)は、正義と悪の境界があいまいに見えるユニークな戦隊だ。正義がますます不確かなこの時代で描かれるヒーロー作品から浮き上がるものは何か。

 全てのスーパー戦隊のロボが死力を尽くしたユニバース大戦。その勝者である巨神「テガソード」の力を宿したセンタイリングを全て集めれば、何でも願いがかなう――。

 こうして「ゴジュウジャー」では、主人公の遠野吠(ほえる)(冬野心央)ら戦隊5人と、敵の集団ブライダンを交えた指輪争奪戦が繰り広げられている。センタイリングを手に入れると過去の戦隊作品の戦士に変身できる、50周年ならではの趣向が凝らされている。

  • スーパー戦隊50年、正義は不変か 自分のために戦うゴジュウジャー

 本作は「協力して悪と戦う戦隊ヒーロー」という一般のイメージを崩している。ゴジュウジャーの5人は自身の願いをかなえるために各自が戦い、いずれライバルになることを隠そうとしない。東映の松浦大悟チーフプロデューサーは「ゴジュウジャーは、コロナ禍を経て孤立し、分断された現代の人たちだ」と話す。

初代の「秘密戦隊ゴレンジャー」から、スーパー戦隊は今年4月で50周年。戦隊が描く正義と善悪はどう変わってきたのか、東映の制作陣への取材を通して考えます。記事の後半では、「アメコミヒーロー」が届ける現代の正義についても識者に聞きました。

 善悪もあいまいに見える。敵…

共有
Exit mobile version