第83期将棋名人戦・C級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終10回戦が4日、東京、大阪、名古屋で一斉に指され、現役最年少棋士の藤本渚(なぎさ)五段(19)と佐藤和俊七段(46)がB級2組への昇級を決めた。
C級1組からB級2組への昇級枠は3。すでに斎藤明日斗六段(26)が昇級を決めており、残りは2枠だった。
藤本五段は関西将棋会館(大阪府高槻市)で阿部隆九段(57)に勝ち、今期成績を9勝1敗として昇級。規定により、同日付での六段昇段も決めた。
自らが勝てば昇級が決まる「自力」の状態だった藤本五段は元A級の阿部九段の中飛車に対し、機敏な動きでリードをつかみ、勝利をつかんだ。
藤本五段はC級2組からの連続昇級を成し遂げた。B級1組、A級へとノンストップで駆け上がっていく姿を期待するファンも多そうだが「それを気にし過ぎると力が入りすぎてしまう気がするので……。そういった応援の声は、すごくうれしいんですけど。対局の時になると、あまり意識せずに頑張りたいと思います」と話した。
佐藤七段は東京・将棋会館(渋谷区)で阿部健治郎七段(36)に勝利。8勝2敗で昇級を手にした。
自らが勝てば昇級、敗れれば他局に関係なく昇級を逸する大一番。阿部七段が採用した意表の右四間飛車を攻略し、完勝した。
25歳で棋士に。順位戦はC級2組を15年かけて突破。C級1組も6期目で待望の切符を手にした。
感想戦終了後は笑顔も見せ「素直にうれしい、の一言ですね。でも、順位戦の2敗は運の要素も大きいので胸を張るつもりはないです」と述べた。「ただ、C1に上がった時の取材で、たしか『Bクラスまでは行けるはずで、行けなければ努力不足』と話していたので、できたことはよかったと思います」。有言実行の46歳は静かに言った。