トランプ米大統領の関税政策の衝撃を受けて、政府・与党が国民一律の現金給付の調整に入った。参院選を控え、与党内から減税や給付を求める声が続出するなか、想定を超える米国の「相互関税」が発動。国民生活や経済に与える影響への不安が、大規模な財政出動に対する慎重論を吹き飛ばした。
- 国民全員に現金5万円給付、政府・与党が検討 米関税措置など踏まえ
対米交渉での関税回避の道筋が見えないなか、与党内では参院側を中心に、減税か給付を求める声が相次いだ。石破茂首相と2日に面会して物価高対策の必要性を訴えた自民党の松山政司参院幹事長は8日の記者会見で「給付や減税も含め、あらゆる選択肢を排除せずに対応することが重要だ」と述べていた。
減税は税法の改正に時間を要し、一度引き下げた税率を戻すハードルも高い。「物価高対策なのだからすぐやらないといけない」(自民幹部)との声が強まり、政権は現金給付へと傾いた。
霞が関では「関税の対策になっていない。本当に困る人に届く内容ではない」(財務省幹部)との声も根強い。だが、危機感を強めた政権が関税措置を「国難」と位置づけたことで、冷静な声はかき消された。
政権内では経済対策の策定に…