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KSP(駒沢スペシャル)を食べる駒大の選手たち=2024年6月30日、神奈川県厚木市飯山、吉村駿撮影
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 「さぁ、KSPいこうか」

 西東京大会の開幕を1週間後に控えた6月30日昼、駒大高野球部(東京都世田谷区)の神奈川県厚木市にあるグラウンド。練習試合を終えたばかりの選手たちから次々と、「KSP」という言葉が聞こえてきた。

 KSP――。それは練習メニューでも、若者の間で流行している言葉でもない。お昼に食べる特盛り弁当「駒沢スペシャル」のことだ。頭文字を取ってKSPと呼んでいる。

 大きな唐揚げ六つに、ジャガイモのコロッケ一つ。そしてご飯はたっぷり400グラム――。タッパーからはみ出るほどの圧倒的なボリュームだ。

 この日食べていたのは、2年生の部員たち。みな、KSPに集中し、黙々と食べ、空にしていった。

 食べ盛りの高校生とはいえ、なぜこれだけの量を残さずに食べ続けられるのか。選手たちは「唐揚げがうまいから」と口をそろえる。

 その唐揚げの味付けは、塩としょうゆの2種類。六つのうち二つには、ヤンニョムとハニーマスタードの特製ソースがかけられている。作り置きせず、注文を受けてから揚げ始めるのもおいしさのひけつだ。

 KSPには、選手の体を大きくするという重要な役割もある。小島良太選手(2年)は、KSPのおかげもあってか、体重が昨年から7キロ増えて72キロに。以前はKSPを食べ終えるまで1時間かかっていたが、最近は30分で完食する。

 「KSPでもっと体重を増やして、パワーをつけるのが目標です」

 作っているのはグラウンド近くの弁当店「花から」だ。ただ、KSPは100種類以上ある弁当メニューには載っていない。駒大関係者だけが知る「裏メニュー」だからだ。

 駒大高の古市拓実部長による…

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