日本で唯一、人が暮らしている淡水湖の島が、滋賀県近江八幡市の沖島。琵琶湖に浮かび、周囲約7キロ、面積約1・5平方キロメートル。島に移住し、漁師として腕を磨くのが塚本千翔さん(33)だ。雪が降りしきる1月、釣り好きな桂天吾さんと語り合った。
桂天吾
1996年生まれ。神戸市出身。関西学院大学教育学部を卒業後、桂南天に弟子入り。6月14日に大阪市の中之島会館で独演会を開催する。午後2時開演。
近江八幡の堀切港から「おきしま通船」で10分ほど。琵琶湖の沖合にある沖島に渡った。この定期便は通学や通勤に使われている。
40年ぶりの新人「ゲーム性が面白い」
塚本さんは沖島で約40年ぶりの新人漁師。スジエビ漁などを手がけている。スジエビは3~5センチほどの小さな陸水エビ。滋賀の郷土料理「えび豆」の食材として欠かせない。えび豆は「腰が曲がるまで、まめに暮らせるように」という意味合いから、おせち料理などに用いられている。
塚本さんが見せてくれたのが、スジエビ漁に使う「たつべ」と呼ばれる専用かご。エサを入れて湖の底に沈めると、中に入ったエビは出ることができなくなる仕組みだ。
塚本さんは「1200個のかごを密集させて置いたり、エビが隠れていそうな水草のあたりを狙ったり。先手先手で場所を探す、ゲーム性が面白い」と言う。釣り好きな天吾さんは「スジエビは釣りエサにも使われますよね。僕も釣りの時に重宝しています。高価なエサなので、これからは直接買います!」と話した。
「手仕事」「丁寧なくらし」に関わる
塚本さんは漁師になるまで…