琵琶湖の南端を出た瀬田川が、ゆったりと蛇行する大津市の山あい。9日朝。京都府との境に近い川面で、小型ボート「うえの丸」に乗った漁師が、はえ縄を引き揚げていた。
黒い斑点がある銀色の魚が、ザルの中で、ピクピクとえらを震わせる。北アメリカ原産のチャネルキャットフィッシュ(通称アメリカナマズ)。ナマズ目アメリカナマズ科の淡水魚だ。
はえ縄の300針に31匹かかった。体長20~30センチ、生後1~2年のものがほとんどだ。
油で揚げるとおいしい淡泊な白身魚だが、ボートから降りた漁師の上野欣一さん(66)は「捕れた方がいいのか、捕れない方がいいのか……」と複雑な顔をした。
この日、上野さんは滋賀県水産試験場=彦根市=の依頼を受けて魚を捕った。食用ではない。駆除するためだ。
「琵琶湖に入り込んでつがいになれば、爆発的に数が増える。そうならないよう瀬田川でぎりぎり食い止めている」と上野さんは言った。
アメリカナマズは1971年に養殖目的で日本に持ち込まれた。それが2005年には「特定外来生物」に指定され、飼育や生きたままの運搬、野外に放つことなどが禁じられた。
「生態系は壊れ、漁業も大打撃」
県立琵琶湖博物館=草津市=…