会見で説明する浅尾慶一郎環境相=2025年5月30日午前9時10分、杉浦奈実撮影

 「家庭教師のトライ」を運営するトライグループ(東京)が、「水俣病は遺伝する」という誤った内容の教材をオンライン講座で使っていた問題で、浅尾慶一郎環境相は30日の閣議後会見で、経緯について報告を受けたと明らかにした。環境省はトライ側に対し、1週間以内に再発防止策などの報告を求めたという。

 環境省は29日にトライグループの社長らに聞き取りを実施。それによると、トライ側は複数の中学生向けの教科書を参照し、水俣病などを解説する教材用の投影スライドを作成した。スライドには問題の表現はなかったが、解説する講師が水俣病を「遺伝する」と説明。それを文字起こしした文章が画面上に示され、社内チェックでも間違いに気づかなかったという。

 誤りがあった動画は、教育の地域格差や所得格差への対応として無償で提供されていた。動画投稿サイト「YouTube」では2016年1月から誰でも見られる状態になり、アプリでは2015年11月に公開した。YouTubeでは今年5月に非公開となるまで計7万373回再生され、アプリではコンテンツが差し替えられる直前の21年3月までに7千回程度、再生されたという。

 浅尾氏は一連の経緯について「こうした事態が発生してしまったことは非常に残念な思い」とした上で、環境省としても「関係省庁と連携し、業界団体を通じた情報発信、注意喚起をしっかりと行っていく」などと述べた。

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