トランプ米大統領による相互関税の強行は、自由貿易体制が瓦解(がかい)寸前であることを示している。
国際貿易の要であり、発足30年を迎える世界貿易機関(WTO)。その協定の第1条は、関税率を国によって差別しないこと、第2条は特別な理由がない限り、関税を引き上げないことを定める。相互関税は違反の疑いが濃厚だ。しかし、WTOは紛争解決機能を第1次政権時のトランプ氏に骨抜きにされており、手を出せない。
通商の世界には「相互主義」という言葉がある。お互いに関税などを同じ程度削減し合うことで、貿易自由化を進める考え方だ。これに基づき、戦後の自由貿易体制を主導してきたのが米国だった。
その米国の大統領が、全く逆の意味でこの言葉を使うのは大いなる皮肉といえる。
米国は途上国を説得するため…