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 各地で品種改良が進み、さまざまなお米を食べることができるようになりました。長年続く米のコンテストからは、消費者の好みが見えてきます。

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審査員が各地から出品された米の香りや味わいを確かめた=2024年11月30日午前10時32分、山形県庄内町、沼田千賀子撮影

 米どころとして知られる山形県庄内町で開かれる、「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」。11月30日にあった第18回の決勝大会で、作付割合の多い「メジャー部門」の最優秀金賞に選ばれたのは、北海道の生産者の「ゆめぴりか」だった。

 かつてはおいしくない米の代名詞とされた北海道米。1980年から育種を強化し、2008年に誕生したのがゆめぴりかだった。豊かな甘さと粘りをもつ、北海道の「自信作」だ。今年のメジャー部門上位6人のうち5人は北海道の生産者で、うち4人がゆめぴりかを出品した。

機械使わず、五感で評価

 判断の基準は、食べた人がおいしいと思ったかどうか。食味計は使わない。町の公募に応じた全国の米好き500人が登録料1200円を払って、予選審査員を務める。複数の米を食べ比べて、見た目や味、香り、弾力などの項目で順位をつけ、予選を勝ち抜いた米が決勝に進む。

 ゆめぴりかで上位6位に入った北海道蘭越町の安田伸二さん(57)は「去年、今年とすごく出来がよかった。甘く、色つやがよいのが好まれたのでは」と振り返る。

 全部門の定数計500点に対して603点の申し込みがあり、抽選で出品者を絞った。品種別では54種だった。

 庄内町は、コシヒカリやササニシキのルーツとなった「亀ノ尾」「森多早生(わせ)」の発祥の地。大会は、米のまちをPRしようと07年に始まった。

 ただ、当初は「大粒で香りも弾力もある」「もち米に近い粘りがある」といった個性が際立つ、流通量の少ない品種が最優秀に選ばれることが多かった。もっと日ごろ食べる米のコンテストにと、17年の11回からは作付割合上位20位の品種を対象とする「メジャー部門」とそれ以外の「プレミアム部門」に分けた。

 その後、メジャー部門ではコシヒカリか山形県が開発した「つや姫」、ゆめぴりかが最優秀に選ばれてきた。

 大会が始まって18年。消費者が好む米に変化はあるのか。

 町関係者は「ふっくら、もっ…

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