「生態系を地域ビジネスに活用するためには、地元と歴史をよく学ぶことが大切」と話す河口洋一准教授=2025年5月13日午後2時17分、徳島市南常三島町2丁目、鈴木史撮影

 徳島大学の河口洋一准教授(55)は森と川と生き物のつながりを研究している。生態系の持つ魅力と、それを地域ビジネスに生かすことを考えて約30年。希少な生き物がすむ重要な干潟がある徳島県の吉野川河口に注目し、市民と保全などの活動にも取り組んでいる。

 ――貴重な干潟とは

 河口付近で2015年、県内へのコウノトリの初飛来が確認された。豊岡市(兵庫県)からの個体で、餌場がある北部の鳴門市で巣を作り、17年にはひなが誕生。以来、秋にやってきて毎年、ひなが生まれています。国内でラムサール条約に登録された重要な湿地は53カ所あるが四国にはありません。認定NPO法人「とくしまコウノトリ基金」理事としても、登録を期待できる環境が吉野川河口にあると考えています。

 ――吉野川の特徴は

 土砂を押し流す力が、ほかの河川に比べて大きい。土砂が河口で堆積(たいせき)し、栄養分の豊富な干潟を築いています。様々な生き物にも優しい生活環境で、野鳥にとっても貴重な餌場になっている。建設資材として使われる良質な川砂利も取れます。

 ――地域ビジネスに生かせるのでは

 1次産業が順調だと、他の産…

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