著作権が保護されたコンテンツを無許可でAI(人工知能)に学習させ、別のコンテンツを生成することは、法律上許容されるのか。生成AIと著作権の関係に大きな影響を与えうる訴訟の審理が9日、英国の高等法院で始まった。判決までには数カ月かかる見通し。
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原告は、報道や広告に使われる画像や動画を提供するゲッティイメージズ(本社・米シアトル)。2023年1月の声明によると、被告のスタビリティーAI(本社・ロンドン)は、ゲッティが管理する数百万の画像や関連のメタデータを不正に学習したとしている。
スタビリティーAIは、画像生成AI「ステーブルディフュージョン」を運営する。作りたい画像を英語で文字入力すれば、1分もかからずに生成される。最も安いプランだと、月額9ポンド(約1750円)で利用できる。同年11月には、日本語入力に対応するモデルを開発したと発表した。
一方、ゲッティでは写真1枚の使用料として最低150ポンド(約2万9400円)かかる。同社は声明で、AIが創造的な活動を活性化させる可能性を信じていると強調。主要なテック企業にはコンテンツ学習のための許諾を出しているが、スタビリティーAIについては「長らく法的な保護を無視している」と批判している。
また、ゲッティのクレイグ・ピーターズ社長は米CNBCに対し、この訴訟のために「数百万ドル(数億円)」を費やしていると指摘。「私たちは競争に反対ではないが、これは不公正な競争であり、盗用だ」と述べた。
スタビリティーAIは英国だけではなく、米国でもゲッティから訴訟を起こされている。昨年9月の企業報告書ではゲッティの主張について「根拠がない」と反論し、争う姿勢を明確にしている。
コンテンツの保護と生成AI…