生成AIの利用と注意点についてまとめた「情報Ⅰ」の教科書(申請本)のページ=2025年3月、東京都千代田区、関田航撮影

 2026年春から使われる高校教科書の検定結果が公表された。今回検定された教科書には、生成AI(人工知能)など近年の時事も反映されたが、その分量は各社で差が目立つ。背景には、教科書検定制度の制約もある。

 プログラミングなどを学ぶ必履修科目「情報Ⅰ」の教科書は、13点のうち11点に、生成AIについての記述があった。

 他教科も含めると、生成AIが書かれたのは8教科48点に上る。生徒の議論のテーマとして扱ったり(国語)、活用の注意点を説明したり(家庭科)、取り上げ方は様々だった。

「情報Ⅰ」の教科書(申請本)では、使い方を大きく扱うものから小さくコラムで取り上げるものなど扱いが様々だった=2025年3月、東京都千代田区、関田航撮影

 開隆堂の「情報Ⅰ」は、「生成AIを使ってみよう」など、生成AIの活用の特集を6ページにわたって掲載。質問文入力のコツや、BGM生成など動画制作への活用方法、ゲーム開発への応用例を紹介し、個人情報に関する注意点にも触れた。「情報Ⅰ」で生成AIを扱った11点のうち5点は、このように仕組みや利用法、注意点などを幅広く盛り込んだ。

 一方、残りの6点は部分的な記述にとどまった。小さなコラムでの簡単な説明や、イラストのみの紹介もあり、教科書会社によって扱いの差が出た。

 生成AIの認知度は、Chat(チャット)GPT登場の22年11月以降に急速に高まった。このため、学習指導要領に「生成AI」の記述はない。今回と同じ高校1年生向け教科書を対象とした前回検定(20年度)でも記述はほぼなく、大きな変化となった。

あえて詳しく書かない教科書も

 生成AIは生徒に身近で、重…

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