生成AIに自分の作った文章を入れてみる東京学芸大付属小金井小学校の児童(左)と、AIの判定結果を入力してみんなと共有する児童(右)=2024年5月9日午前、東京都内、宮坂麻子撮影

 社会で「生成AI(人工知能)」の活用が広がる中、学校の授業や校務で使う動きも、少しずつ広がってきている。ハルシネーション(誤情報)や、権利侵害、情報漏洩(ろうえい)など様々なリスクについて教員も子どもも学びつつ、活用法を探っている。

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 「原因と結果」を表す文には、どんな関係があるのか――。生成AIを使った公開授業が、5月上旬に行われた。

 コニカミノルタが教育用に開発しているサービス「tomoLinks(トモリンクス)」の文章生成AI機能を使い、東京学芸大付属小金井小学校の5年生が、教育イベントの会場で授業にのぞんだ。

 「アイスを食べました。なぜなら暑かったからです」という例文を鈴木秀樹教諭が入力すると、AIは「『暑かったから』という原因が先に来て、『アイスを食べました』という結果が後に来ています」と指摘。逆にすると「結果が起きたことがもっとはっきりします」と助言した。だが、児童からは疑問の声が。「元の文は原因が後にある」「原因が後でも通じる」

 鈴木教諭はニヤリ。生成AIの回答が正しいとは限らないことに気づかせる授業をこれまでもしてきた。ハルシネーションなど、生成AIのリスクも理解した上で、様々な形で使いこなせる人に育てたいからだ。

 個々の端末で、「なぜなら、~から」の例文を作って入力し、AIにわかりやすさの判定を求める。そこで終わらず、近くの児童と納得できるか、議論することで考えを深める。

生成AIは「思考を深めるツール」、高性能のもの先生が活用を

 鈴木教諭はこれまでも、生成AIに国語の物語の要約文を3種類作らせ、なぜ生成AIはそう要約したのかを考える授業も実践した。生成AIは思考を深めるためのツールで、中学、高校に行っても、正解を求めるだけで終わって欲しくないという願いがある。

 ChatGPT(チャットGPT)やMicrosoft(マイクロソフト) Copilot(コパイロット)などは、原則13歳未満は利用できず、成人までは保護者の許諾を得て使う。そのため、コニカミノルタやみんなのコードなどの民間が、制限をかけた教育用生成AIサービスを始めた。有害単語や使用時間の制限、教員の履歴閲覧など、様々な機能がある。

 だが、生成AIは急速に進歩している。鈴木教諭は「性能が高い最先端のものを教師が使って見せる授業も併せてしなければ、使える年齢になっても十分に正しく活用できないのでは」と話す。

 文部科学省が指定した生成A…

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