AIを活用した調査報道について説明するニューヨーク・タイムズのザック・スワード氏=2025年5月、クラクフ、山口智久撮影

 生成AI(人工知能)はジャーナリズムにとってチャンスか脅威か――。ポーランド南部の古都クラクフで5月初めに開かれた「世界ニュースメディア大会」では、生成AIに関する議論が大半を占めた。

 ニュースの要約や翻訳に活用して読者を増やす取り組みが紹介される一方で、生成AIがネット上のさまざまなサイトから情報を集めてニュースに仕立ててしまうと、報道機関のニュースサイトの閲覧数が減るといった問題への対応策が話し合われ、「AI時代にニュースの信頼性を守る5原則」が採択された。

  • 「AI時代に信頼性を守る5原則」 世界ニュース発行者協会が発表

 大会は、日本新聞協会など各国の報道業界団体や報道機関が加盟する世界ニュース発行者協会(WAN―IFRA)が毎年開いている。今年は5月4日から3日間の日程で開かれ、65カ国・地域の440機関から約1千人が集まった。

 参加した報道機関からは、以下のような生成AIの活用例が紹介された。

 取材の下調べに使うことで取材班が思いつかなかった視点やアイデアが浮かんだ▽記事の要約を下書きさせることで編集者の作業時間が短縮した▽最近のニュースからクイズを作成させている▽過去の記事を収容したデータベースの検索機能に導入したことで探したい記事が見つかりやすくなった▽取材映像から配信に使えそうな部分を選び出させた。

 ニューヨーク・タイムズの編…

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