国が2013~15年に行った戦後最大の生活保護基準額の引き下げは生存権を保障した憲法25条などに違反するとして、受給者らが取り消しを求めた2件の訴訟の高裁判決が13日あった。原告32人による「京都訴訟」で大阪高裁(佐藤哲治裁判長)が減額は「違法」と一審判決を覆した一方、原告7人の「佐賀訴訟」で福岡高裁(久留島群一裁判長)は一審に続き「適法」と判断した。
同種訴訟は全国29地裁で31件起こされた。これで高裁判決7件のうち3件は減額決定を取り消し、4件は請求を退ける結果となった。先行訴訟は最高裁で審理されている。
生活保護の受給は08年のリーマン・ショックなどで急増し、財政が逼迫(ひっぱく)するなかで人気お笑い芸人の母親が受給していることが週刊誌で批判的に報道され、バッシングが激化。「給付水準10%カット」を公約とした自民党が12年に政権復帰し、翌13年に厚生労働相が減額改定を告示した。食費や光熱費、服代など日常生活に必要な費用にあてる「生活扶助費」の基準額を平均6・5%(総額670億円)削る、戦後最大の引き下げとなった。
■「一般世帯との消費の違い見…