東京高裁が入る庁舎=東京都千代田区

 国が2013~15年に生活保護基準額を減らしたのは生存権を保障した憲法25条などに反するとして、受給者らが減額決定の取り消しなどを求めた訴訟で、東京高裁(三角比呂裁判長)は27日、決定を取り消した一審・東京地裁判決を支持する判決を言い渡した。

  • 【解説人語】ブラックボックス化する生活保護行政 利用者半減なぜ
  • 【そもそも解説】「最後の安全網」生活保護申請のハードルとは?

 原告側弁護団によると、同種訴訟は全国29地裁で起こされ、高裁判決は9件目。この日の判決を含めて5件が減額決定を取り消した一方、4件は請求を退けている。

 最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は26日、先行して高裁判決が出た2件について、受給者側と国側双方の意見を聞く弁論期日を5月27日に指定した。減額の違法性について、今夏にも統一判断が示される見通しだ。

 国は13~15年、生活保護費のうち、食費や光熱費など日常生活に必要な費用にあたる「生活扶助」の基準額について、物価の下落などを理由に最大10%引き下げた。

 27日の高裁判決は一審と同様、国が用いた独自の物価指数について、生活保護の受給者らがあまり買わないテレビなどの価格下落が大きく反映されていると指摘。引き下げの判断は「専門的知見との整合性がとれていない」と述べ、厚労相の裁量権を逸脱して違法だったと結論づけた。

共有
Exit mobile version