国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたことについて、最高裁が「違法」と判断した判決を受け、厚生労働省は13日、対応を検討する専門委員会の初会合を開いた。減額分の支払いを求める原告への支払額の決め方などが焦点になる見通しだが、原告側は専門委の設置自体に反発している。
専門委は法律や経済、社会福祉の分野の学者ら9人で構成され、東京大名誉教授の岩村正彦氏が委員長に就任した。9人のうち6人は、生活保護の金額の基準を定期的に評価、検証する厚労省の生活保護基準部会のメンバーが占めた。
問題となっているのは、生活保護の生活費にあたる生活扶助だ。国は13年からの3年間で平均6.5%、最大10%を引き下げ、戦後最大の減額となった。
この改定で減額の主な理由となったのは、物価変動率を指標にして物価下落を反映させる「デフレ調整」だった。厚労省は、生活扶助を初めて物価で調整することになるにもかかわらず、審議会などで検討せずに一律で4.78%引き下げる判断をした。
最高裁は6月に示した判決で、デフレ調整の判断の過程と手続きに「過誤、欠落があったというべき」だと指摘し、生活保護法違反だと認めた。物価変動率だけで判断したことに関しても、専門的知見が十分に反映されていないとも指摘した。一方、国の賠償は認めなかった。
この日の専門委で、厚労省は…