妻子と別居後、生活費を渡さず、妻に家賃の支払いも請求する――。そんな夫が離婚を求めて訴訟を起こした。経済的に妻子を困窮させる「兵糧攻め」を続ける夫に、裁判所が出した答えは。
判決や訴訟資料によると、ある夫婦は2006年に結婚し、2子をもうけた。夫は会社員として夜遅くまで働いた。夫婦関係は悪化していき、夫は17年に別居を始めた。
別居後、始まった「兵糧攻め」
夫は当初、生活費として月46万円を妻に渡していたが、うち23万円は、夫名義の持ち家に住む妻子から「家賃」として払い戻させていた。
その後、夫は離婚調停を申し立てたが不成立。これを機に、生活費を渡さなくなり、妻は家賃を支払えなくなった。
別居が続く中、19年に夫は「未払い分」の家賃支払いを求める訴訟を起こした(のちに請求棄却が確定)。さらに21年には、離婚を求める訴訟も東京家裁に起こした。
離婚訴訟では、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるといえるかが争点になった。
夫婦が離婚に合意していない場合、裁判で離婚が認められるためには、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」「相手が不貞行為をした」など、民法が定める離婚事由が存在する必要がある。
離婚を迫る夫、拒む妻
この夫婦は、お互いに不貞行為はなかったが、夫は裁判で「妻との関係は冷え切っていて、これ以上結婚生活は続けられない」と主張した。
夫は、妻から受けた「仕打ち」についても訴えた。
「妻は高級マンションでの暮…