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連載「薄氷の『農業大規模化』」㊦

写真・図版
中森農産の会議の様子。農家を借りた「本社」で開かれた=2025年7月1日午後2時13分、埼玉県加須市、松浦新撮影

 埼玉県加須(かぞ)市は、利根川と荒川にはさまれ、首都圏有数のコメの産地だ。その田園地帯にある株式会社「中森農産」の本社に7月1日、社員16人が「改善活動」のために集まった。議題のひとつは「どうしたら田んぼを間違えずに作業できるか」。

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 同社は計約330ヘクタール(東京ドーム72個分)という全国でも指折りの広さの農地を、埼玉、栃木、島根、山口の4県で耕す。埼玉だけで約250ヘクタール。それが1250カ所に分散している。目印のポールを立てているが、最近は農地を借りて栽培する農家などが同じようなことをして紛らわしく、作業効率が悪い。

 「うちしかやらないことを考えないと」という声があり、別の1人が「これまでに却下されたこともありますが」と前置きして、「入り口に工事用のコーンなどを置いて、移動させないと通れないようにしてはどうでしょう」と話した。コーン案が採用された。

■事業継承でノウハウを吸収

 土地が分散しているのは、同社の成長の仕方と深い関係がある。

 全国各地でいま、農業法人な…

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