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菖蒲廃寺跡。右側に巨大な礎石がある=2024年8月28日午後0時45分、鳥取市、富田祥広撮影
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 この夏、鳥取県立博物館(鳥取市)に鳥取市菖蒲(しょうぶ)地区の住民がやってきた。「これ、父親が拾ったもののようですが」

 JR鳥取駅の南西約2キロ。菖蒲地区に広がる田んぼの一角に、7世紀後半~8世紀初頭の創建とされる古代寺院の跡がある。

 「菖蒲廃寺」と呼ばれる寺院跡には、塔の心柱を据えたとされる巨大な礎石(塔心礎(とうしんそ))や、建物の土台とみられる盛り土が今も残っている。

 県立博物館によると、塔心礎は軸の長さが1・8~2・5メートルで、中央に直径40センチ、深さ14センチの穴がある。心柱の下端を削って穴に落とし込んだと考えられ、奈良時代のものに多いという。

 1968(昭和43)年に田畑の整備に伴う発掘調査が行われたが、過去に土地の造成がされており、寺院に関連する建物跡は見つからなかった。

 ただ、土器や瓦などが多く出土し、7世紀後半の須恵器も見つかった。最も目立ったのは奈良時代全般にわたる土器や須恵器で、寺院として最も整備されたのは奈良時代と考えられるという。「その後も周辺では、ときどき遺物が見つかっています」。県立博物館の小山浩和・主任学芸員はそう話す。

 住民が博物館に持ってきたの…

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