江戸幕府の老中、田沼意次は先見の明ある偉大な政治家だった――。意次が藩主だった相良藩を含む静岡県牧之原市が今年、功績をアピールし、顕彰事業を進める。今月から始まったNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で主要人物として登場することが決まったのをきっかけに、意次の生涯を描いた演劇や新史料を展示する企画展を開く。積極的な経済政策が評価される一方で「賄賂政治家」との悪評を払拭(ふっしょく)したいとの思いからだ。
演劇「田沼意次物語」は19日に牧之原市で上演される。ストーリーは現代に暮らす姉(29)と弟(25)が、田沼時代の江戸にタイムスリップするというSF時代劇だ。史実をもとにした意次の経済政策や人柄にふれながら生涯をたどる。歌やダンス、殺陣のシーンもある。
「100年先をみた政治家」
菊川市の舞台演出家で脚本家の松尾朋虎さん(53)が脚本を作り、2022年10月に初演された。今回は6人だった出演者を17人に増やすなど脚本を改めた。松尾さんは「意次を賄賂政治家として学校で習ったイメージではなく、100年先をみた政治家という新しい視点で見て欲しい」と話す。
出演者は昨夏、市民を中心にオーディションで選んだ。アマチュアを中心に小学5年生から70代まで計17人。初舞台も9人いるという。
最年長は県立高の非常勤講師…