2023年の大阪府マーチングコンテストで演奏する箕面自由学園の釘宮(くぎみや)優里菜さん=2023年9月10日、大阪市港区
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 夏の日。試合が始まると、家族みんなで2階へかけあがり、ベランダで耳を澄ませていた。

 聞こえる。大きな歓声と、熱のこもったブラスバンドの演奏が。

 釘宮(くぎみや)優里菜さん(高3)の自宅は、阪神甲子園球場から自転車で15分ほどの場所にある。子どものころの「夏」を思い出す時には、高校野球の「音」がつきものだ。

 小学校に入る前から球場にも足を運び、「青春ってこんな感じなのかな」と憧れた。ひときわキラキラして見えたのが、アルプス席のブラスバンド。トランペットの音が、歓声を貫くように高らかに響いていた。

 小学5年生で地元の音楽隊に入り、中学の吹奏楽部では念願のトランペットを吹いた。

 そして、高校進学を前に新たな「出会い」があった。

 ネット上で偶然見つけた箕面自由学園(大阪)吹奏楽部のマーチング動画。演奏しながら、体も動かす「魅せる音楽」にワクワクした。吹奏楽と同じくらいダンスも好き。この世界に飛び込みたいと、志望校を「みのじ」に決めた。

アルプスの夏音

高校野球の応援の演奏をめぐる物語

甲子園への「もう一つの方法」

 箕面自由学園では、1991年にアメリカンフットボール部「ゴールデンベアーズ」の応援団として、吹奏楽同好会がチアリーダー部とともに発足し、93年に部になった。優里菜さんもアメフトの試合などで、応援演奏の経験を積んだ。

 試合に出ている同級生の姿を…

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