横浜の奥村頼人

 昨春導入の低反発バットは飛距離や打球速度を抑制し、「投高打低」傾向へとつながった。1年余を経た今夏の全国高校野球選手権には、低反発バットを振りこなす好打者がそろった。

  • 奇跡のバックホームは「偶然」だった 関東第一の監督が振り返る理由

 春夏連覇を狙う横浜の阿部葉太は抜群のミート力と勝負強さが際立つ。今春の選抜大会決勝では優勝に導く勝ち越し打、今夏の神奈川大会準々決勝では九回2死からサヨナラ逆転打。一振りでチームの雰囲気を変える。

 同じく横浜のエースで4番の奥村頼人はプロ野球でも使われる横浜スタジアムで計3本塁打と、投げない場面でも中心打者の役割を果たした。関東第一の坂本慎太郎も東東京大会決勝で完投するなど投手としての能力も高いが、本来は中堅手。決勝での一発を含む通算2本塁打、打率5割5分6厘と投打で大車輪の活躍だった。

 パワー自慢もいる。2年生ながら4番打者を務める花巻東の古城大翔は豪快なスイングが持ち味で、岩手大会は木製バットを使用して打率5割2分4厘、1本塁打。小松大谷の田西称も太い腕から鋭い打球をかっとばし、石川大会では2本塁打。天理の1番打者、冨田祥太郎はホームランバッターではないが、奈良大会で4本塁打をマークした。

 東洋大姫路の白鳥翔哉真(ひやま)はバットコントロールに優れ、兵庫大会7試合で計17安打、打率6割8分の成績を残した。開星の持田聖純(せじゅん)も島根大会での打率が6割超。選抜準優勝の智弁和歌山で4番を任されている福元聖矢は、広角に強い打球を飛ばす。

 スピード自慢の選手にも注目したい。西日本短大付(福岡)の奥駿仁(はやと)、智弁和歌山の藤田一波(かずは)はともに地方大会は打率4割超で、4盗塁をマーク。1番打者としてチームを引っ張った。俊足を生かした外野の守備範囲も広い。

 敦賀気比(福井)の岡部飛雄馬、天理(奈良)の赤埴幸輝、神村学園(鹿児島)の今岡拓夢といった内野手たちもプレーに華がある。山梨学院の横山悠、仙台育英(宮城)の川尻結大、智弁和歌山の山田凜虎ら捕手陣も攻守で存在感が光る。

共有
Exit mobile version