Smiley face
写真・図版
浦和実―滋賀学園 力投する浦和実先発の石戸=滝沢美穂子撮影
  • 写真・図版

(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 浦和実3―0滋賀学園)

 2人の走者を背に、石戸颯汰投手(3年)はこの日初めての窮地に立たされていた。

 チームは五回、佐々木悠里(3年)、三島陽之介(3年)の両選手の適時打で3点を先制し、自身も六回まで三塁を踏ませぬ好投だった。

 しかし七回、先頭の滋賀学園(滋賀)の5番打者に安打を許した。制球に自信がある直球でもストライクが入らず四球を与えると、犠打で1死二、三塁に。動揺を抑えてくれたのは、仲間からの「とりあえず落ち着いていこう」という言葉だった。緩急を使った投球を心がけ、チェンジアップと直球で後続を連続三振に打ち取り、そのまま完封した。

 足を顔の横まで上げる独特なフォームで打者を惑わし、昨秋は防御率0・72を誇った。その活躍から一気に注目を浴びるようになり、プレッシャーと疲れで思うように投げられない時期もあった。冬の間は自分の投球を映像に撮り、足の踏み出し方など細かなフォームの確認を仲間と続けた。

 試合後、「3点のおかげでだいぶ気持ちが楽になった」と味方打線への感謝を口にした。「危ない場面もあったので今日は70点。次を勝てば目標の8強なので、気を緩めずに頑張りたい」と次戦を見据えた。

共有