高校野球の聖地、阪神甲子園球場は1924年8月1日に完成した。
2024年夏の全国高校野球選手権は「甲子園100周年」。大きな節目に、杵築中時代に第1回大会の予選に出場した島根の伝統校・大社が32年ぶりの出場で快進撃を見せた。
1回戦で難敵を倒して勢いに乗った。エースの馬庭優太が選抜大会準優勝の報徳学園(兵庫)の右腕・今朝丸歩=現・阪神=との投げ合いを制し、3―1で勝利を手にした。
2回戦で創成館(長崎)を延長タイブレークの末破り、第3回大会以来107年ぶりで夏2勝を挙げる。
ハイライトは第1回大会の参加校同士となった早稲田実(西東京)との3回戦だ。
七回の守りで、中堅手の藤原佑が打球を後逸し、勝ち越し点を許す。ところが、攻守交代でベンチへ戻る藤原を、観客がこの日一番の拍手で迎えた。
九回にスクイズで追いつくと、十一回は石飛文太監督から「バントを決められる自信がある者は?」との問いで名乗りを挙げた代打の安松大希のバント安打で好機を広げ、馬庭がサヨナラ打を放ち、初の夏3勝をもたらした。
当時の取材に、馬庭はこう振り返った。
「島根で、みんなでひたむきに練習してきました」
出雲大社近くにある県立校。大社旋風とも、神話旋風とも呼ばれた。
準々決勝で神村学園(鹿児島)に行く手を阻まれたものの、アルプススタンドからの大声援は変わらなかった。