作曲家の林ゆうきさん=所属事務所提供

 「僕のヒーローアカデミア」や「メダリスト」など人気アニメやドラマの音楽を担当する作曲家の林ゆうきさん(44)は男子新体操の選手だった。競技者として音楽にかかわり、独学で音楽を学んだことが今の仕事につながった。異色の経歴を持つ林さんに、その原動力やフィギュアスケートなど芸術的要素の高いスポーツの音楽使用をめぐる問題について聞いた。

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――男子新体操の選手だった林さんは、なぜ音楽の世界に入るようになったのですか。

 僕が選手だった頃は演技の際にボーカル入りの曲は使うことはできませんでした。ボーカルを抜いてアレンジして、インストゥルメンタルにする形をとっていました。

学生時代の林ゆうきさん。男子新体操の選手だった=本人提供

 大学時代に自分でこうした編集が簡単にできるようになり始めて、音楽制作に携わるようになりました。曲にもう少し盛り上がりが欲しいな、という時はアレンジを加えてみたり、ストリングスを加えてみたり、それが僕の作曲家の原点です。

――音楽経験はあったのでしょうか。

 音楽は独学で学びました。アカデミックな音楽を学んでいないということは、僕のコンプレックスの一つですが、それを補ってくれたのが、男子新体操の競技経験でした。

 練習する体育館や試合会場では、50人の選手がいればその選手の数だけ何曲も「この曲で勝負する」というメインテーマとなるような音楽を聴くことになります。人の心が沸き立つような、キャッチーな音楽をたくさん聴くことになる。

音楽制作をする林ゆうきさん=所属事務所提供

 そうした経験が、「劇伴」(劇中伴奏曲)を創作するうえでの、貴重なフィルターのようになっていると思います。

――アニメの音楽はどのように作っていくのでしょう。

 日本の一般的なTVシリーズ…

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