アナザーノート 大鹿靖明編集委員

 大分県臼杵市は、臼杵湾を抱くように豊後水道に突き出た半島や岬からなる。リアス式の海沿いに進むと、細い道にへばりつくように集落が連なる。

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 そのひとつが風成。「かざなし」と読む。風の無い、天然の良港がそのいわれらしい。この季節、きらめく陽光が海に反射し、まばゆいばかり。おわんを伏せたような津久見島が浮かび、その向こうを四国と結ぶフェリーがゆっくり進んでいく。

 風光明媚(めいび)なこの集落に、いまから50年余り前、激しい反公害闘争があった。

激しい反公害闘争のすえ、臼杵の海は昔のまま残った=大分県臼杵市

 海を埋め立ててセメント工場…

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