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会見する河野豊弁護士(左)ら大阪弁護士会人権擁護委員会のメンバー=2025年5月29日、大阪市北区、遠藤美波撮影

 留置場の天井穴に監視カメラがあった――。大阪府警に逮捕された40代男性の人権侵害救済の申し立てについて、大阪弁護士会は証言内容や府警の対応から「事実」と認めざるを得ないと判断。「カメラがあると告げずに収容したのはプライバシーの侵害」として29日、府警本部に改善勧告をしたと発表した。

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 勧告書によると、男性は2022年2月に逮捕され、羽曳野署に留置された。計27日間過ごした1人部屋で、天井の隅に縦横40センチほどの穴があるのに気がついたという。

 男性は同会に「アクリル板でふさがれた真っ暗な穴の中に、長方形のカメラがあった」「窓越しに見えた隣室のモニターに自分が映っているのが確認できた」と説明。同会は「具体的で信憑性(しんぴょうせい)が高い」と判断し、府警に事実関係を確認したが「管理運営上支障がある」と回答を拒まれたという。

 刑務所や拘置所などの刑事施設で自殺防止などのためカメラ監視をする例はあるが、同会は「男性に自殺の兆候はなかった」と指摘。カメラは排泄(はいせつ)の様子まで監視でき、無断撮影は「盗撮とも評価されうる」とした。会見で河野豊弁護士は「回答すらしないのは悪質だ」と話した。

 府警留置管理課の藤原良成調査官は、取材に対し「本件については特にコメントを出す予定はない」と答えた。

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