学校法人の土地取引をめぐる業務上横領罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」山岸忍・元社長(61)が国に賠償を求めている訴訟で、捜査した検事4人の証人尋問が11日に始まる。尋問に先立ち、国側は検事4人それぞれの見解をまとめた陳述書を裁判所に提出した。要旨は以下の通り。
学校法人を買収した上で土地を売り、代金を横領する計画に手を貸したとして、大阪地検特捜部は不動産会社の社長だった山岸忍氏を元理事長らの「共犯」として逮捕・起訴しました。
買収にあたり「計画を知りながら資金を提供したか」が問題になり、大阪地裁はその意図が「認められない」と判断。無罪を言い渡しました。
山岸氏が国に賠償を求めて起こした民事裁判で、捜査の違法性が争点になっています。
【捜査を指揮した主任検事(51)】
(逮捕の経緯)
元社長は任意の取り調べに対し、個人資産から法人側に18億円を支出したことは認めたものの、「学校の再建費用として使われるものと認識していた」と供述し、法人買収のため元理事長(有罪確定)に貸したということは一貫して否認していました。
一方でプレ社関係者の聴取や押収資料により、プレ社が以前にも土地の購入に乗り出し、元社長も強い関心を示していたことなどが判明していたので、元社長は買収資金18億円を貸す十分な動機があると考えました。
元社長の当時の部下と、古くから懇意にしている法人の元理事(いずれも有罪確定)は、任意の取り調べに対し、当初から「買収資金と認識していた」と認めていました。
元社長は関西の不動産業界で絶大な影響力を持っており、うその話をしたと発覚したら関西の不動産業界では生きていけなくなるであろうと思われたので、うその話をするにはリスクが大きすぎると思っていました。
しかし、元社長の嫌疑を裏付ける証拠として、元部下と元理事の供述が重要になるなかで、元部下は2回目以降の取り調べでは「買収資金ではない」と供述を変遷させました。元理事もあいまいな供述をしていました。
上場企業の社長を逮捕することは社会的な影響が大きく、私は嫌疑が十分に認められる元理事長や元理事、元部下らの逮捕を先行させ、元社長の逮捕はさらに捜査を尽くして慎重に判断したほうがよいと考えました。
大阪地検特捜部は2019年…