ヘリから水が投下される瞬間。消防隊員がカメラで撮影した=岩手県大船渡市、岩手県防災航空隊提供

大船渡山林火災3カ月・中

 山林火災発生翌日の2月27日午前6時半過ぎ。岩手県防災ヘリから大船渡市の現場上空を偵察した、県防災航空隊長の高田邦生(47)は息をのんだ。

 火が風に乗って津波のように広がっていた。海岸に近い集落では焼失した民家もあった。前日は強風でヘリによる空中消火ができなかった無念さもあり、高田は胸が痛んだ。

 山林に囲まれ、一時は全滅も心配された綾里地区も見えた。最も多くの住宅がある中心部の被害はほとんどないように見えたが、火の手が迫っている集落もあった。

 「これ以上、被害を増やしてはいけない」

【連載初回】2時間で600ヘクタール焼失 全滅危機で防衛ライン、岩手山火事

1964年以降の林野火災で、国内最大となる3370ヘクタールに延焼した岩手県大船渡市の山林火災。鎮火まで41日要した消火活動について、3回の連載で検証します。

■空中消火、地上隊直撃リスク…

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