布団から出るのがおっくうになり、気付けば週末が終わっていた……なんてことも

 6月に入る少し前からなんだかメンタルの調子が優れない。仕事のやる気も出ず、週末も気付けばベッドの上で終わっていた……。そんな症状ありませんか。

 いわゆる「6月病」。原因やなりやすい人の傾向、診療の目安などを精神科医療を専門とする滝川中央病院(滝川市)の縄手康瑚院長に聞きました。

 ――6月病とはどのような状態を指すのか?

 正式な医学用語ではないので定義は難しいのですが、大学に進学した学生や、転勤や部署異動した社会人など、環境に変化のあった人が多く来院します。変化に適応しようと一生懸命頑張った結果、5月ごろから症状が出始める人が多いです。

 頭痛、めまい、吐き気など自律神経の症状を訴えます。心の状態としては、何をするにも腰が重く、不安に駆られたり、すごく悲しいわけでもないのに涙が出てきたりという人が来ます。睡眠も寝付きが良くないなど、うつ病に近い症状です。原因がはっきりしていれば適応障害に近く、はっきりしない場合はうつ病に近いと言えます。

 ――原因は?

 環境の変化はもちろんですが、暑かったり寒かったり、本州ほどではありませんが、北海道も以前に比べればジメジメする暑さを感じやすくなりました。頭痛持ちの人は症状が出やすい季節でもあります。まとまった休みも取りにくく、体も心も疲れがたまる時期です。

 ――なりやすい人の傾向は?

 無理をしてしまう人が多いと感じます。終えなくてはいけない仕事があると、何時まででも頑張ってしまう。「自分は頑張りが足りていない」「周りはもっと頑張っている」。そう考えている人も多く、本人には自分が真面目で頑張り屋だという自覚が意外とありません。

 ――どう対処したらいいのか?

 気分転換がベストです。ドライブに行く、毎月楽しみにしている雑誌を買って読んでみる、友達と食事をする。好きなことに取り組む時間を確保してほしいと思います。リラックスすると自律神経も整うためです。

 好きなことすらどうでもいい、手に付かないとなっていたら黄色信号です。それが心のバロメーターと思って下さい。たとえばお風呂好きだった人が、お風呂に入るもめんどくさくなって入れなくなっていたら、一度スクールカウンセラーや産業医、近くの心療内科に相談してみてもいいかもしれません。リフレッシュできないと、どんどん蓄積してしまいます。

黄色信号には要注意=2025年6月24日、札幌市中央区

 ――逆にやらない方がいいことはありますか

 一般的には夜更かしはあまり良くないと言われています。夜寝るのが遅くなり、おなかがすいて食事をしてしまい、食べてすぐ寝ると今度は睡眠の質が下がります。

 人にもよりますが、1日6時間の睡眠は確保してほしいところです。

 睡眠と覚醒のリズムを一定にした方がいいので、疲れて寝たい人でも、できれば朝1度起きて朝食を食べ、歯を磨くなどのリズムを作ることは大切です。

 ――身近に「6月病」と思われる人がいたら?

 医療従事者じゃなくても変化には気付けると思います。例えば、化粧していた人がしなくなったり、始業時間より早めに来ていた人が遅刻し始めたり、伝えたはずの内容を覚えていなかったりしたら疲れが出てきているサインです。

 まずは話を聞いてあげるのがいいでしょう。解決したように見えなければ、カウンセラーへの相談を促してもいいかもしれません。実際受診に来られる方も、誰かに背中を押してもらった方が多いです。ご自身で判断するのが難しくなっている方も少なくないので。

 まだまだ身近でないとは思いますが、不眠など睡眠の乱れだけで受診される方もいます。待合室に行けば、何科かわからないような空間だと思います。7月、8月になると暑さも増して悪化しかねません。保健室に行くくらいの気持ちで、必要だと思ったら少しでも早く受診してもらえたらと思います。

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