無責任な飼育によるトラブルが社会問題化している。警察が動物虐待の疑いで事件化した人数は昨年、過去最多に達した。飼い主の生活が破綻(はたん)し、ペットが増えすぎて飼育不能になる「多頭飼育崩壊」の事例も目立つ。なぜ起きるのか。
空き家から10匹の猫と2匹の死骸 元住人「18匹飼っていた」
2月中旬、千葉県富津市の空き家を訪れた解体業者の男性は、窓から外をのぞく猫に気づいた。依頼主に確認して中に入ると、そこは「ごみ屋敷」だった。
粉じんが舞い、異臭が漂う室内からは衰弱した猫が計10匹見つかった。ドアや窓はいずれも施錠されていたため、長期間閉じ込められていたようだった。
猫たちはやせ細って骨が浮き上がっていたり、脚をけがして歩くのが困難になったりしていた。さらに、重なったごみの陰に、白骨化した猫の死骸もあった。
男性は知人を通じて、動物の保護活動をしている団体「10Lives Mihama Neko(美浜ねこ)」(千葉市花見川区)の佐々木由紀子代表(54)に連絡し、佐々木さんが千葉県警富津署に通報。その後、佐々木さんや保護団体の人々などが猫を保護した。
一般的な成猫の体重は3~4キロだが、保護した猫は1・7キロほどしかなかった。佐々木さんは「下痢がひどく、回虫もいた。あと少し遅かったら」と言葉を詰まらせた。
署はこの家を捜索し、新たに1匹の死骸を発見。動物愛護法違反容疑で捜査している。関係者によると、任意の事情聴取に対して、今も定期的に訪れているという、元住人の高齢男性は「18匹の猫を飼っていた」と説明したという。
近所や親族とも付き合いなく 親族「孤独なのだろうと思うけど」
登記などによると、家の所有者は男性の娘という。
親族や地域住民によると、男性は20年以上前には妻と美容院や喫茶店などを切り盛りしていた。店をやめ、1人で暮らすようになってから、自宅にごみをためるようになり、伸びた庭の木の枝が周辺の住宅や道路に及び、トラブルになったこともあったという。現在は、親族とも疎遠だという。
近くに住む人は、「昔から近…