ならどっとFMの生放送。中川直子社長(左端)が自らスポンサー名を読む=奈良市餅飯殿町

 奈良市のコミュニティーFM局「ならどっとFM」が6月1日で開局25周年を迎える。陰になり日なたになり番組を支えるのは、異色のスポンサーたちだ。

 「きょうはどうした? カミカミや」「きのうのお酒が残ってる」「自分のせいや」「そうなんです」

 奈良市中心部、もちいどのセンター街で夜、女性2人のゆるやかな会話が響く。通りに面したスタジオで「くるみと正子のカラフルナイト♪」が生放送されていた。

 セシルくるみこと柏原久留美さん(67)は奈良県斑鳩町で婦人服店を営む。ビジネス交流会で知り合った、ならどっとFMの中川直子社長(65)に、広告主が番組に出られると聞いた。当時のスポンサー料は月1回30分で2万円。「店を宣伝できたら面白い」。友人を相方に誘って2017年から始めた。現在の相方は、セラピスト正子こと田村正子さん(52)だ。

 放送中はフェイスブックにインスタグラムも使って発信する。視聴者からメールが次々と届く。打ち合わせも台本もないが、ファッションや健康など職種に応じた相談に乗る。

 同じ不特定多数に情報を送っても、SNSは相手が見えない。ラジオは「人に向かってしゃべってる」と柏原さん。ただ、番組を聴いて来店する人はいないらしい。

 広告主がパーソナリティーとなって出演する番組は00年の開局時から始まり、現在は月に52本ある。パーソナリティーの肩書は、住職やボディービルダーから弁護士、税理士、1級建築士まで硬軟織り交ざる。

開局10年もせずに危機に

 ならどっとFMができるまで…

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