小竹町立病院。経営難のため入院機能をなくし無床診療所とする方針を町長が示している=2025年2月6日午後2時6分、福岡県小竹町勝野

 病院や診療所が地元からなくなる。そんな不安が、各地で現実となりつつある。人口減少や物価高騰に医療機関の経営は厳しさを増し、都市部以外では医師確保に苦しむ。細る地域医療網は機能し続けられるのか。

 「病院として維持し続けることは困難」。福岡県小竹町の井上頼子町長は3月、町立病院(56床)について、入院を受け入れない無床診療所とする方針を表明した。

 町で唯一、入院可能な医療機関。内科系の救急対応もしているだけに、無床化には住民から不安の声が上がった。

 小竹町はこの15年で人口が2割減り7千人を切った過疎の町だ。この間、病院はほぼ毎年赤字続きだった。特に、7年前に常勤医が1人退職して2人態勢となった後、対応できる患者数が限られて経営はさらに悪化。コロナ禍以降の受診控えも影響した。累積赤字は2023年度末で5億5662万円に達した。近い将来には建て替えも迫る。

 井上町長は「これ以上借金が増えれば町財政は組めなくなる。入院機能は近隣の医療機関に委ねて外来診療は維持する」と説いて理解を求めた。

 町が開いた住民説明会では…

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