「20日公開の『メガロポリス』は、中身が痛いけど監督は痛くない映画。同じく20日公開の『Mr.ノボカイン』は、主人公は痛くないけど観客が痛い映画。はい、今回のコラムはこれでおしまい」
「なんですそれは? 久々の漫才形式なのにやる気無しですね。『メガロポリス』は巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の久々の大作で、格差と分断で崩壊の危機にある大都市を救うべくアダム・ドライバー演じる天才建築家が理想の未来都市建設へ突き進む一大叙事詩。『ノボカイン』は、信用組合の副支店長が強盗の人質にされた同僚女性を助け出そうとする物語で、平凡で気弱な彼の武器は『生まれつき痛みを感じない体』。でも監督のダン・バーク&ロバート・オルセンのコンビも、主演のジャック・クエイドもよく知りませんね。なんか地味?」
「パラマウント映画だかられっきとしたメジャーだよ。『メガロポリス』なんかただの自主制作だから!」
「コッポラ監督が壮大な構想を実現するため先祖代々のワイン事業の一部を売って1億2千万ドル(約186億円)を調達したんでしょ? 前代未聞のインディーズ映画ですね」
「1980年代から構想を始めて脚本を300回以上書き直して、2001年にロバート・デニーロ、ポール・ニューマン、レオナルド・ディカプリオらと読み合わせをやったけど、9・11同時多発テロで中断、その後も資金のめどが立たず、自腹を切る決心をしたそうだ。映画を見ての想像だけど、どこの会社もどのプロデューサーも『こりゃヤバいな』と手を出さなかったんじゃないかな」
「どうヤバいの?」
「誇大妄想てんこ盛りの俺様…