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行き交う車に安全運転を呼びかける、亡くなった西田倖さんの父・圭さん=2025年5月16日午前7時48分、札幌市豊平区、新谷千布美撮影

 持病があるのに薬の用法を守らず車を運転し意識障害に陥った男が、札幌市豊平区の西田倖さん(当時9)をはねて死亡させた事故から、16日で1年が過ぎた。事故現場には、登校途中にタンポポやチューリップを供えていく小学生の姿もあった。

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 事故は2024年5月16日午前8時15分ごろ、同区月寒東4条18丁目の市道交差点で起きた。倖さんは登校中、青信号で横断歩道を渡っていた時にはねられ、死亡した。

 運転手は、当時64歳の男。10年以上前から糖尿病を患い、インスリン注射を打った後に食事をとらないと低血糖症状になるおそれがあった。だが事故当時、注射後の食事を怠って車を運転。意識障害に陥り、赤信号に気づけず、ブレーキもかけていなかった。

 男は昨夏、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)罪で禁錮2年6カ月の実刑判決を受けた。

 事故から1年となったこの日、町内会の役員や同校の保護者ら約60人が、行き交う車に「スピードダウン」などと書かれた旗を振り、安全運転を呼びかけた。道警は速度違反の取り締まりも行った。

 企画した「東月寒地区交通安全母の会」会長の井戸井純子さん(57)は「地域でも何かしたいと声があがっていた。これからも続けたい」。

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