荏原製作所藤沢事業所で、鈴木俊昭所長(右)の説明を聞く浦口愛彩さん(左)と辻優里香さん(中央)=2025年3月13日、神奈川県藤沢市

 高校生・高専生が自由研究の成果を競う「JSEC(ジェイセック)2024(第22回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」(朝日新聞社・テレビ朝日主催)で高評価を得たチームや個人が、今月、米オハイオ州コロンバスで開かれる世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に挑む。

3人で探究した「錯視」現象

 参加チームの一つ、玉川学園高等部(町田市)の浦口愛彩さん(3年)、辻優里香さん(今春卒業)、新倉里咲さん(2年)は、実際にはない色が見える「錯視」現象を研究。3Dプリンターで作った人工眼球を活用した研究内容が評価され、日本代表に選ばれた。

 白と黒で模様が描かれているのに、回すと、人によって様々な色が見えるように感じる「ベンハムのコマ」。この現象に興味を持って調べていた辻さんに、視細胞について研究する浦口さん、3Dプリンターの活用が得意な新倉さんが加わり、チームを結成した。

 眼球は、光の刺激を電気信号に変え、脳に伝える。視細胞は、種類によって光の応答速度が異なり、電気信号の遅れが色の錯視につながるといわれる。

 3人は実験で、コマの白黒模様の残像から色を感じることを確認し、模様やコマの回転速度を変え、見える色を調べた。さらに、光の刺激で発光する「蓄光顔料」を視細胞に見立てて、人工眼球の中に入れ、白熱電球で照らして発光の強さや波長の変化を分析。度重なる失敗を経て、錯視の仕組みを理解するための手がかりを得た。

荏原製作所賞を受賞

 昨年12月のJSECで荏原製作所賞を受賞。同社は今年3月、チームを藤沢事業所(神奈川県藤沢市)に招き、鈴木俊昭所長が「探究心をもってチャレンジを続けてほしい」と激励した。

 ISEFは、例年60カ国以上から高校生ら千数百人が集う、世界最大級の大会だ。辻さんは「研究を多くの人に見てもらい、研究材料をもっと増やしたい」、浦口さんは「人の眼に近い錯視カメラを作り、色覚異常の解明につなげたい」と意気込む。

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