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全体練習後、個別練習でも熱心に指導する赤星憲広・臨時コーチ(左端)=2025年2月6日、沖縄県宜野座村、大坂尚子撮影
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 ペナント奪回を目指す阪神で改革が始まった。6日、5年連続で盗塁王のタイトルを獲得したOBの赤星憲広さんが臨時コーチとして参加。走塁の意識などを選手に伝えた。

 近本光司、中野拓夢の1、2番コンビに代表されるように、足を使った攻撃は阪神の得意だったところ。2023年は79盗塁を絡めて18年ぶりのリーグ優勝に輝くなど、阪神は5年連続でリーグトップの盗塁数を誇った。だが、ペナントレースで2位に終わった昨季のチーム盗塁数はリーグ5位。前年の約半分の41盗塁だった。

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 通算381盗塁の赤星さんはプロ野球界が「投高打低」の傾向にあるとし、「セ・リーグは指名打者制ではないし、出塁が減った中で1、2点を取るなら、ある程度の成功率がなければやらない方がいい、となる」と分析。そのうえで「とはいえ、少なすぎる」と指摘する。昨季のパ・リーグ盗塁王の周東右京(ソフトバンク)は41盗塁。パの上位5傑が、セ・リーグ1位の近本(19個)より多く盗塁したからだ。

 昨季のチーム盗塁数がリーグ1位の69だったDeNAの相川亮二・1軍ディフェンスチーフコーチもデータ野球の浸透によって、よりシビアな判断が迫られるようになったと話す。23年のチーム盗塁数はリーグ6位の33盗塁。「得点につながるかどうか」「やみくもに盗塁を試みてアウトになれば得点につながらない。成功率が上がれば、どんどん仕掛けるべきだ」

 データ面の充実だけでない。阪神の捕手、梅野隆太郎は「クイックモーションの進化」を挙げる。「苦手な投手でも修正してきているし、ギャンブル(スタート)的なことができないのかも」と振り返る。

 この日、赤星さんが後輩たちに強調したのは「技術よりも考え方やメンタル」。昨季6盗塁(失敗7)に終わった21年の盗塁王・中野へは、前向きに盗塁のスタートを切れるように「イメージを0(フラット)にして」などと助言した。中野は「紅白戦など実戦では、アウトになってもいいという考えで試していきたい」。=宜野座

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