写真・動画撮影時の不適切画像を検知するアプリ導入で連携協定を結んだ「Adora」の冨田直人社長(左)と日進市教委の岩田憲二教育長=2025年8月26日午後3時23分、愛知県日進市役所、松永佳伸撮影

 盗撮などから子どもたちを守ろうと、愛知県日進市教育委員会は9月から、小中学生と教員に配布している約1万台の学習用タブレット端末に人工知能(AI)で写真や動画撮影時の不適切画像を検知するアプリを導入した。

 アプリは、IT企業「Adora」(東京都港区)が開発した「コドマモ for School」。タブレット端末を利用し、性的に不適切な写真、動画を撮影すると、事前に学習したAIが検知し、削除するように促す仕組み。検知後は画面上で警告するほか、市教委と学校の管理職にメールが届き、削除するなどの対応を取ることができるという。

 「コドマモ」は、子どものスマホ利用を安全にする各種機能が搭載され、全国で約15万人が利用。今回は、県警や藤田医科大学(豊明市)との産官学連携で開発した。学習用タブレットに導入するのは、日進市が全国で初めてだという。アプリの利用料は1台あたり年間約1700円で、市が負担する。

 日進市教委によると、児童生徒による学習用タブレットを使った盗撮が各地で起きていて、県内でも5月に中学校の教室内で盗撮があったという。

 また、名古屋市の元教員らのグループが女児の盗撮画像などをSNSで共有していたとされる事件も発生。子どもたちや保護者に安心感を与え、現場の教員たちが働きやすくなるよう、タブレット端末の更新に合わせてアプリの導入に決めた。今後は、学校行事などの撮影はアプリを導入したタブレット端末に限定するという。

 日進市教委とAdora社は8月下旬、学校現場での課題やニーズを共有し、アプリ機能のさらなる改善や運用面での支援、情報モラル教育との連携などを図るため協定を結んだ。

 市教委の岩田憲二教育長は「子どもを盗撮から守るだけでなく、教員が安心して正しくタブレット端末を使った授業ができるようにしたい。社会全体の問題として取り組んでいきたい」と話す。

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