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六回2死一、三塁、高田の黄川田子龍選手は適時打を放つ=2025年7月20日、きたぎんボールパーク、長野剛撮影

(20日、第107回全国高校野球選手権岩手大会準々決勝 盛岡大付5―3高田)

 5点を追う高田の反撃開始は六回。チーム初打点を挙げ、勢いに乗せたのはエースの黄川田子龍選手(3年)だった。

 2死一、三塁。「俺はチャンスに強い」と自分に言い聞かせた。狙いと違う球に手が出たが覚悟して振り抜くと、左翼手がギリギリで追いつけない安打になった。

 1988年、高田は甲子園に出場したが、初戦で8回雨天コールド負け。校内の石碑には「甲子園に一イニングの貸しがある」と刻まれている。東日本大震災の津波に洗われても残った石碑を見守りながら、高田の選手は闘志を燃やしてきた。

 「貸しを返してもらいに行こう。そのためには打倒私立だ」と黄川田選手らは誓い、練習を重ねた。相手の先発はエースではなかった。内心、面白くなかった。

 六回の反撃後、盛岡大付はエースの雨田優海斗投手(3年)が登板。「これからが本当の勝負だ」とうれしくなった。

 九回も仲間が2安打で1点返し、2点差にまで迫った。「チームは秋の初戦負けで始まった。悔しさをバネに頑張って、成長できたと思います」

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