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夢野台の藤濤英介選手=2025年7月22日午後3時24分、ほっともっとフィールド神戸、原晟也撮影

 (22日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会5回戦 夢野台1―6報徳学園)

 夢野台は五回まで無安打に抑えられていた。グラウンド整備の時間に、前原克泰監督は選手らに言った。

 「明日の紙面がノーヒットノーランになるぞ、あかんぞ」

 それを聞いた藤濤(ふじなみ)英介選手(3年)は、冗談交じりで、周りにいた選手に話しかけた。「おれが1番にヒットを打つから、誰も打つなよ」

 直後の六回表、先頭の神野慶吾選手(2年)が安打を放った。犠打で二塁に進み、チャンスで藤濤選手に打席が回ってきた。「下級生が打ったんだから続いてやる」と、低めの直球を地面にたたきつけた。

 ボールは高くバウンドし、一塁手が捕球するも内野安打に。一塁手が背を向けた隙に、俊足の神野選手が一気に本塁を陥れた。

 試合はこの1得点のみ。だが、藤濤選手はすがすがしい顔をしていた。「目標のベスト16を達成できて、報徳学園相手に戦えた。やりきりました」

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