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松山商―小松 試合終了の整列を終えてベンチに戻る小松・秦遼太郎主将。右から2人目は宇佐美秀文監督=2025年7月27日午後2時19分、坊っちゃん、中川壮撮影

 (27日、第107回全国高校野球選手権愛媛大会準決勝、松山商6―3小松)

 4点を追う三回裏2死一、三塁。小松の秦遼太郎主将(3年)は「絶対に塁に出てやる」という気持ちで打席に入った。

 振り抜いた当たりは右前へ落ちた。松山商の絶対エースからこの適時打を含む3安打。「僕の技術で打てるピッチャーじゃない。気持ちだけで3本出た」

 兵庫県宍粟(しそう)市出身。中学時代に所属していたクラブチームのコーチから、川之江、今治西、小松の3校を甲子園へ導いた「すごい監督」がいると聞いた。その宇佐美秀文監督(67)のもとで野球がしたいと小松に進学した。

 「最初は野球の技術や戦略が優れているのかなと思っていた」。でも、印象に残ったのは、他者への優しさや礼儀など「人間として生きていくために大事なこと」を教わったことだ。「勝ちにふさわしいチームが甲子園に行く」という監督の言葉を信じ、グラウンドの内外で心身を鍛えた。

 試合終了後、涙をこらえきれなかったのは、試合に負けた悔しさだけではない。

 「ここに来たのが一番良い選択だった。この2年半は人生の中で一番大きな財産と思います」

試合経過

 松山商は一回、敵失で出た走者を三塁へ進め、堀のスクイズバントで先制。三回は1死満塁を作ると、河野の走者一掃中越え三塁打で主導権を握った。エース小林は要所を締め完投。今大会の4試合全てで完投している。

 小松は三回に秦の右前打、六回には押し出しで得点。二回以降毎回走者を出し、最後まで食い下がった。一回には中堅手久米が美技を見せた。

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