野球のU18(18歳以下)ワールドカップに出場する高校日本代表が合宿をしている沖縄で、心温まる光景が広がった。
代表20選手は30日、糸満市で開かれた野球教室「キッズベースボールフェスタ」に出席した。主催は、侍ジャパンの関連事業を担当するNPBエンタープライズと糸満市。野球が盛んな市の声かけもあって、今回のイベントが実現した。
高校日本代表が野球教室で教えるのは、根尾昂(大阪桐蔭)や吉田輝星(金足農)らが代表だった2018年に神宮球場で開催されて以来、7年ぶりとなった。
この日は中学生と未就学児の約70人が参加。大阪桐蔭の中野大虎(だいと)は、野球経験がない未就学児と積極的にふれあった。
「ナイスバッティング!」「いいね、うまいねー!」
侍ジャパンのユニホームを着た高校生にほめられると、子どもたちの表情は自然と笑顔に変わった。中野は「自分も楽しかったです」と汗をぬぐった。
全国選手権大会で初優勝した沖縄尚学の2年生、末吉良丞(りょうすけ)は大人気だった。
画面の向こうにいた選手が間近にいたからか、イベントに参加した中学生は「本物だ」と目を輝かせていた。未就学児の子どもたちも、末吉の周りにどんどん集まっていた。
末吉は小学生のときに1度、野球教室に行ったことがあるという。「上手な選手に教えてもらえるのはうれしかった」と当時を思い出した。
この試みは、競技人口の減少に直面している野球界全体の危機感の表れでもある。
今年度の高校の硬式野球部員数は12万5381人。ピークだった2014年度に比べ、4分の1ほど減った。プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)と日本高校野球連盟は7月、全国で普及・振興事業を行うために、初めて継続的な合意を結んだ。
高校日本代表の主将を務める横浜の阿部葉太は、「高校野球は全国で放送されるような注目度が高いもの。自分たちがこういったところで、どんどん野球の楽しさやおもしろさを伝えたい」と語る。
末吉も、野球人口の減少について耳にすることがあるという。「いろんなスポーツが強くなってきている中で選択肢が増えてきていると思う」と、野球以外の人気が増している状況も認識している。
それでも、「こういう場に来てくれた子には野球の楽しさを知ってもらって、成長していく中で野球をやってくれたら」と末吉。
子どもたちの視線を集める左腕の言葉には、力がこもっていた。