黙秘権はあっても、取り調べを拒めば、車いすに乗せてでも連れて行く――。そんな捜査をめぐって異例の裁判が起こされる。逮捕された容疑者の弁護人は、昨年6月にできた「取調べ拒否権を実現する会(RAIS(ライス)=Right Against Interrogation Society)」のメンバーだ。なぜ「逮捕=取り調べ」という実務を揺さぶろうとするのか。代表の高野隆弁護士に聞いた。
- 黙秘権は「使えない武器」か 留置場から車いすで連行、異例の提訴へ
――会を設立した理由は
黙秘権というものを、警察も検察もまったく尊重しないからです。
終わらないじゃないですか、日本の取り調べって。黙秘権がネガティブな権利のように受け止められていて、「悪いやつが黙秘してるのを、あの手この手を使って口を割らせるのは当然だ」と。刑事がそれをどう崩すかが大事で、そのために聖職者みたいに説教をして、取り調べを続ける。
実態が最近、世の中に知られるようになってきました。例えば(同じ第二東京弁護士会にいた)江口大和さんが黙秘権侵害を訴えた東京の訴訟では、検事が目を閉じて黙る江口さんを「ガキだよね」などと侮辱し続ける様子が取り調べ映像で明らかになりました。
罵倒したり説教したり、高いところから人を見下したり、弁護人の悪口を言ったり。そういうことが、事実として伝わるようになった。
黙秘している相手を取り調べるということが、いかに非人道的で、間違った正義なのか。しかもそれが逮捕・勾留中の最長23日間、毎日何時間も続くという先進国を、私は知らない。おかしいということを、改めて言う時期だと思いました。
バッシングを受けた30年前の活動
――実践している「取り調べ…