地方にいる高校生に東京大学を目指す後押しができないか。そんな思いから、地方出身の東大生らでつくる団体「FairWind」(フェアウィンド)が8月、全国の高校生を対象にした初のオンラインイベント「全国高校生サミット」を開催する。
同団体は2009年、地方に住む高校生の進学を支援しようと、設立された。地方だと、東大など地元から遠い難関大に関する情報を得る機会が不足しがちで、都会と比べて進学に「壁」があるという問題意識が出発点だったという。地方の中学や高校を対象に、メンバーが経験談や勉強方法を語る出張セミナーや、生徒を東大に案内するツアーを実施してきた。
これまでに、43道府県の250校以上の学校が参加。だが、渉外部長で農学部3年の日浦萌々音さん(20)によると、参加は学校単位で常連校も多く、申し込みのない学校にはアプローチできていなかったという。
このため、今回のイベントでは高校生個人を対象にした。対象は高2で、開催は8月30、31日の2日間。オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」で実施する。
企画の副責任者である文科三類2年の能正遥さん(20)は「参加しようと思ってもらえない学校にも、東大などを目指す高校生はいるかもしれない。個人参加なら、今までアプローチできなかった高校生に参加してもらえると考えた」と話す。
企画責任者の文科一類2年の山田詩子さん(19)は熊本県出身。高校では東大を目指す同級生がおらず、勉強方法など情報がなくて悩んだ経験がある。当時、東大生に相談できる機会があれば、合格まで「遠回り」せずに済んだかもしれない、と感じる。「東大進学に向けて少しでも後押しができたら。情報がなくて一歩踏み出せない高校生を応援したい」
イベントでは、東大生が学生生活について話すパネルディスカッションや座談会、個別相談会などが開かれる。無料で参加できる。対応できる学生に限りがあるため、一部のコンテンツには40人ほどの定員を設ける。応募者多数の場合は選考する。応募の締め切りは6月23日で、結果は7月7日に通知する予定という。応募は団体のホームページ(https://www.fairwind-ut.com/)にある専用フォームから。