あいにくの雨でも、テントの下は活気に満ちていた。
6月23日、能登半島西岸の夕日の名所、石川県輪島市門前町にある諸岡公民館で、避難所の「解散式」があった。
「きがねなねえ」。住民らがこの日に合わせて作ったおそろいのTシャツには「お気遣いありがとう」という意味の方言をあしらった。
鉄板焼きなどの屋台から温かい香りが漂い、館内からは昭和歌謡や洋楽バンドの懐かしい音色が響く。
ここで避難生活を送った住民に加え、これまでに訪れたボランティアも集結。4時間にわたり数百人が出入りする大宴会になった。参加者はこの半年の苦労を語り合った。
仮設住宅への入居が進み、公民館の避難者は6月中旬にゼロになった。
だが、この場は、解散を祝うだけのものではなかった。
「被災者が自ら始めた炊き出…