オリックスの九里亜蓮。昨季まで8年連続100イニングを投げている=2025年2月15日、SOKKENスタジアム、大坂尚子撮影

 2023年までリーグ3連覇を果たしたオリックスは昨季、5位に終わった。特に投手陣は、ドジャースに移籍したエース・山本由伸の穴が埋まらなかった。

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 巻き返しを期する今季。フリーエージェント(FA)権を行使して、広島から加わった九里亜蓮は間違いなくキーパーソンだろう。21年には13勝で最多勝と実績は十分。ただ、33歳は勝ち星よりも投球イニング数に強くこだわる。

 11年間在籍した広島では、17年から8年連続でシーズン100イニング以上を投げてきた。自身最多は23年の174回3分の1。新天地では200回を目標に掲げる。

 なぜ投球イニング数に執心するのか。「マウンドに上がっている以上は最後まで投げたい」という責任感だけではない。

 「次のイニングを任そう、次も任そう……という形で積み上がっていく」。投げたイニング数こそ、信頼の証し。勝利数や防御率は、その先に自然とついてくる。

 キャンプでの練習は、持論に基づく。「疲れた後のブルペンでの投球が、試合に近い」と、しっかり投げ込む。

 「第2クールまでは多く投げ込んで体を張らして、そこから仕上げていく」のが、競争の激しいプロの世界で生き残れた自身のやり方だ。広島時代にはキャンプの第1クールで、一日300球以上を投げた経験もある。

 そのスタイルはオリックスでも変えていない。キャンプ序盤は連日のようにブルペンに入り、一日200球超を投げる日もあった。第3クールの12日は変化球を一通り投げ、クイックモーションを確認しながら計52球。第4クールの15日はサインを確認と、実戦を意識した調整に徐々に移行していった。

 「まずは自分の投球ができるように、状態を上げていく。実際にやってみて、色々なことが見えてきたら対応を考えていく」

 投手の分業制が確立して久しい。時代とともに先発完投型の投手は減った。しかし、セ・リーグと違って指名打者制のあるパ・リーグは、代打で降板することはなく、まだまだ投球イニング数を増やせる可能性はある。

 「パワーピッチャーが多いパ・リーグで、自分がどういうふうになるか感じてみたい」

 大リーグでは、長いイニングを投げる投手を「イニングイーター」と呼ぶ。プロ野球随一のイニングイーターが、23歳の宮城大弥をはじめ若手の多いチームに新風を吹き込む。

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