投開票が27日に迫る自民党総裁選の焦点のひとつは、派閥の裏金問題だ。先月には新たに堀井学前衆院議員が、裏金の不正な使途をめぐり略式起訴されたばかり。全容解明にほど遠いことが明らかになった形だが、総裁選候補者らには解明に前向きな姿勢は乏しい。

 「追加的な調査は考えていない」

 13日の9候補による共同会見では消極的な姿勢が目立った。「党として処分済み」「検察による捜査が終わっている」――。そんな理由が挙げられたが、未解明の点は少なからず残っている。

 一連の問題では、派閥の政治資金パーティー券の売り上げを、議員らが政治資金収支報告書に記さず裏金化していた。自民党の調査によると、2018~22年に計85人が総額5億7949万円を記載しておらず、議員らは「表の収入」として計上し直すため、過去の収支報告書を相次ぎ訂正した。

 それでも、裏金作りが、いつ、なぜ始まったかはなお未解明で、党調査の対象期間より前の裏金があったのか、あったのならどんな規模だったかはわかっていない。また、今月18日時点で公開されている20~22年の収支報告書では、76人が裏金の受領日を「不明」「不詳」、5人が使途や支出金額を「不明」としたままになっている。

 この5人のうち、収支報告書に「使途不明金」を計上していた堀井氏については、東京地検特捜部が8月末、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で略式起訴。地元選挙区で違法な香典を配った際に裏金を使っていた疑いがあることが明らかになった。裏金の流れの一端が特捜部の捜査で新たに発覚した形だ。

 政治資金に詳しい神戸学院大…

共有
Exit mobile version