第72回全日本吹奏楽コンクール(全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)の高校の部が20日、宇都宮市で開かれる。吹奏楽の「頂点」をめざし、都代表として出場するのは2校。そのうちの一つ、東海大高輪台が誇る「ゴージャスサウンド」を支える打楽器セクションには、春に急きょフルートからパートを変えた3年生がいる。

 自由曲「息吹の花」(福島弘和作曲)の冒頭、グロッケンの鍵盤の縁を弦楽器の弓で垂直にこすって音を出すのは、青砥実咲さん(3年)。これから広がる世界観を印象づけるような、深い響きだ。全神経を集中させ、他の部員らと呼吸を合わせる。

部員の息づかいに合わせ、弓をひいてグロッケンを鳴らす青砥さん(中央)=2024年10月1日、東京都港区高輪2丁目、石川瀬里撮影

 小4からフルートを始め、高輪台の部員たちの明るさや優しさにあこがれ、入部した。

「自分がメンバーに入らないほうが…」

 例年、150人ほど部員がいる大所帯。全日本吹奏楽コンを目指すA組55人のメンバーは、オーディションで選ばれる。青砥さんは2年生の時、フルートでA組に選ばれ、全日本の舞台に立った。舞台から見る満員の客席、お客さんの拍手と笑顔。「またここで演奏したい」。そう強く思った。

 だが、昨年冬ごろから調子が…

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