第171回直木賞の選考会が17日、東京都内で開かれた。「ツミデミック」(光文社)で直木賞に決まった一穂ミチさん(46)の素顔を紹介する。

 選考結果を待つ間、「緊張にたえかねてビールを飲んでしまった」。受賞会見の冒頭でこう明かし、苦笑い。「高齢の母の冥土の土産がなんとか間に合った」

 受賞作はコロナ禍のただ中に書いていた。書名は自身が考えた造語だ。デリバリー配達員にのめりこむ主婦。人員整理のあおりを食った料理人。登場人物の誰もが身近な人。「自分だって犯罪をしでかすかもしれない」という切迫感が、コロナ禍で人生が詰んだ人たちの罪にまつわる物語集につながった。

 会社に勤めながら、小説を執筆する。勤務先に届く新聞5紙を始業前に読むのが日課だ。作家としてはメディアに顔出しをせず、会見もマスク姿で登壇。ついに職場にも知られるか。「認めさえしなければ。他人のそら似でいきたい」

 男性同士の恋愛を描くボーイ…

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